
2012.9.22
田中一光とデザインの前後左右 ー No.248私にとっては学生から社会に出た頃、田中一光さんのデザインは街中のあらゆるところから無意識に飛び込んできた。それはとても強いインパクトだった。田中一光さんからグラフィックデザインというものを知った。亡くなられて時間がたち時代も変わりしばらく忘れていたが、先日21_21 のイベントを見に行き、田中一光さんのたくさんの作品を目にした瞬間一気に感動が甦った。しかも新鮮な。懐かしさと同時に、昔の作品と思えないくらい生き生きとした不思議な新しさを感じた。あれでもごく一部なのに作品の量にも驚いた。人は一生にあんなに仕事ができるもの....?デザインから時代を牽引した大物の迫力、あの時代はとうに過ぎ去ったのに、作品の強さは衰えていない。21_21 DESIGN SIGHTは毎回期待以上の感動をみせてくれる、今回もお勧めのイベントです。⇩「田中一光とデザインの前後左右」開催期間/2012.9.21 - 2013.1.20詳細 click here → http://www.2121designsight.jp/
2012.9.21
デ パドヴァDe Padova のリーヴァ Riva と シェーカー SHAKER ー No.247
そしてDe Padovaデパドヴァと来日したデザイナーのリーヴァRivaが、直感のように、本「シェーカー SHAKER」のページを開いて(写真下)シェーカーのブックスタンドに置いた動作や表情その一つ一つを私はスローモーションのように鮮明に覚えている。大きな空間全体を俯瞰してみて形にしていく過程は側で見ていると感動的だった。才能とそこに甘えない実践の積み重ね。一流のプロの仕事の完成は頭と身体を使い何度も繰り返した結果。デパドヴァもリーヴァも納得いくまでしつこかった。当時私はその感性の仕組みを知りたくて毎日夜遅くまで店内を見て商品に触れ何度も歩き回って見て感じとろうとした。とてもいい時間だった。小さな面積の本の写真さえ、大切な役割や効果があることを感覚で覚えた。置き位置よりも'間'の取り方、成熟したそれに心震えるこみ上げるものを感じ、それは到底自分にはできないレベルだとはっきり知ることができた。この少し前に私は、Vico Magistrettiヴィコ・マジストレッティの住宅を担当していたこともあり、一流のクリエイターの妥協を許さない細部までの拘りが、どれだけ全体の完成度を引き上げるか、また特別な人が持つ集中力と完結(或は理想)への強いマインドには既に気づいていた。一見非効率にもみえるこういうことを'価値がない'と言う人たちもいるけど、私には一番大切なことにみえる。本物とニセモノの本質の違いはとっても大きい。左/今多くの作家さんが復刻し流行っているシェーカーボックス。私もいくつか所有、きれいで使いやすい。右/デパドヴァが気に入って良く開いたシェーカー本の1ページ。1990年今から22年も前のその数日の多くのことは昨日のことのよう。25年以上になるインテリアの仕事人生の中で最も刺激的な時だった。リーヴァは到着してすぐに多くの厳しい指示を出した。マダム デパドヴァはリーヴァの横で笑顔で「ごめんなさい、うるさくて」と言ってるような申し訳なさそうな笑顔の表情を何度もこちらに向けた。才能ある人に共通してるのは、仕事には非常に厳しいけど、相手への思いやり感謝の姿勢、楽しませるユーモアのセンス。それらマダム デパドヴァには感動的なほど溢れ、いつ会ってもとても優しい心遣いをくれた。何もない若い私にまで。忘れることはない。形より何より、人の、心ある思いや厳しさは伝わり永く残る。心ない言葉や態度は消えていく。年を重ねていいと思えるのはこういうことを実感して知ることだ。(左上/私がミラノのデパドヴァ邸を訪ねたときの写真.1990年)最初にリーヴァから受けた指示は「白い食器とすてきなお花」を買えるお店を教えて、というものだった。(その後の様子は、2011.6.30の information + に詳しく書いています。)「英国風にしたいの」と言いながら、リーヴァがアレンジした白とグリーンのお花のスタイルは、清潔で鮮度の高いデパドヴァのイメージそのもの、とても素敵。チェアがシェーカー。デパドヴァの代表的なコーディネートの一つ。普通のようで真似出来ない多くのmm単位の高度なテクニックがある。今はポピュラーなキリムやイサムノグチの和紙の照明器具も早くからうまく使っていた。また、北欧の家具ウェグナーやトーネット、やラグ、アメリカのサーリネンテーブルなども多く使われていた。シェーカーは今はデザインの一つのスタイル。その様式はシェーカー教の生活様式、簡素で機能的なものだった。写真上/のシェーカー教の暮らしの様式はデザイナーの手により多く復刻され現代の暮らしに生かされている。写真下/シェーカー教の家の内装、階段。機能だけとは思えない美しいデザイン
世界のデザイン界がバブル時代でシャープなモノトーンからポストモダニズムの流れも重なりスティールやアルミ素材など派手なデザインが全盛の1980年代中頃から、デパドヴァDePadovaは、偉大なデザイナーの故ヴィコ・マジステレッティ Vico Magistretti(写真上) や故アッキーレ・カスティリオーニ Achille Castiglioni (写真下)と共に、先に進んでいた。あたたか
い木素材のシェーカー家具の多くも復刻し、異素材との抜群に美しいバランスと調和をみせ現代のモダンデザインへ甦らせた。当時衝撃だった。(左上Vico Magistretti、下Achille Castiglioni)日本でも中村好文さんなど建築家多くのクリエイターがシェーカーの影響を受けた作品も生み出している。みな美しい。
とても普通の普遍の幸せの暮らしにみえるコーディネート提案は高度なテクニックで、同じように置いても同じにならない。簡単に真似出来ない。しかし日本の住宅、狭い空間でも生かせるヒントは断片的だが実は結構入ってきている。
イタリアミラノのDePadova デパドヴァのショーウィンドウに復刻デザインしたシェーカー SHAKER の商品をディスプレイ。
インテリアの仕事というのは、形や表現の競争でなく、暮らすということ毎日粛々と生きるということへ直結する。それは効率よいものでなく手間がかかる、手間を楽しむこと。洗練とは誠実な積み重ねで成り立つもの、インテリアとは空間に人が生きてるイメージを感じられるもの。
鮮度や大切なことだけ選択できる実績とセンスを持ち、仕事の目的に応じてビジネスとしてまとめる超一流な人たち。デパドヴァやリーヴァは数日で多くを示してくれた。私はいただいた多くをこれからも自分の中にずっと大事にしまっておく。
時代は毎日変わってて、そこにいた私たちは過去の出会いに感謝して、また未来へ進む。De Padova デパドヴァ http://www.depadova.it/it/日本でのお取扱い KREIS & co. http://www.kc-kitchen.com/new_index.html(特にインテリアの勉強をしている方々に向け長くなりました。いつもありがとうございます。)
2012.9.10
シェーカー SHAKER との出会い ー No.246
シェーカーの家具、その様式を知ったのは1980年代中頃。イタリアのインテリア会社デ パドヴァ De Padova の仕事を通じて。
18-19世紀にかけてアメリカのシェーカー教が製作し使用して生活していた家具や生活用品その機能的な様式は、今は洗練されたインテリアのスタイルの一つとして生き続けている。シェーカー教の家の写真2枚。今見るとモダンにも感じる。機能的なものは美しいものだとわかる。シェーカーは1980年代後半頃から90年代にかけて、イタリアのDe Padova デ パドヴァの洗練された家具デザインやコーディネートのスタイルの多くに取り入れられた。1989-90年頃、マダム・デ パドヴァとその頃のデ パドヴァのスタイリングを主導していた建築家デザイナーのリーヴァEleonre Peduzzi Riva が、2つのイベントのため来日し、シェーカー家具の復刻的またそれ以上のデザインとイタリア家具、または他の様々な様式をミックスしたスタイリングを見事にみせた。1980年代後半頃の、左/マダム デパドヴァ DePadova 右/デパドヴァのスタイリングを主導していたマダム リーヴァ Riva来日した頃のお2人。イタリアでも会えた。(De Padova に関しては、2011.6.30の information+ に詳しく書いています。ご興味ある方はご覧ください)私は幸運なことに来日中ずっとついてその過程をみることができた。それらは昨日のことのように鮮明に小さな存在の私にずっと残る大きな財産となった。とても厳しく優しい本物のプロの仕事とその根っこにある人間性。数日で多くを感じ多くを知り、自分がいかに多くを知らないことを知ることができた。この後に続きます。
2012.8.30
Carine Roitfeld カリーヌ・ロワトフェルドの住まい ーNo.245カリーヌ・ロワトフェルドは最近はフランス版Vogueの元編集長。ロシアの映画プロデューサーの娘でモデル、スタイリスト、シャツが有名なEQUIPMENTはご主人が経営、とファッション界で有名だけど、その住まいのセンスも抜群。シンプルでありそうでないセンス、好きなスタイルの一つだ。カッコいいのは一つ間違えば著しくかっこ悪くなる,特に大人は
騙されない。カリーヌはいつも抜群にカッコいい。
カリーヌのパリの住まいのこの写真は10年前後前ものだけど、とてもモダン。ル・コルビジェのテーブルにブロイヤーのチェア。いたってシンプルなのだけど、1枚の写真でも抜群の知的センスで使いこなしてるのがわかる。今の暮らしもみたい。(カリーヌのパリのインテリアに関して、2011.6.10 に詳しく書いています。ご興味ある方はご覧ください)
2012.8.20
Pip & Pop If you find me in a dream ーNo.244年を重ねいろんなことを知った。いいことも悪いことも。時々白に戻す努力をする。そしてまた白いキャンパスに思い切り新しい色を描きたくなる。辛いときは今も自分の中にいる小さな神様にお願い事をする。女の子心はいつも心の隅っこに残る。ここはパラダイス ? ーオーストラリア人アーティストのPip & Pop 。可愛らしい色、小さなオブジェ、砂糖菓子やキャンディ、ビーズなどでミニチュア世界で創り上げたそのアートは、豊かな色や光を放ち、自分の女の子心にやさしく触れる。
Pip & Pop 2人のアーティストユニットによる幸福感溢れるインスタレーションそのブティックのショーウィンドウ=「街に開かれた劇場」は毎回いろいろなアーティストがアートと商品を飾る。これは、クリスタルガラスがキラキラ輝き「そこに迷い込んだ女性を'大きな虹' が迎え入れている」(「」art it より引用)という夢ある素敵なアート。銀座のど真ん中で思わずにっこりしてしまう。ずっと立ち止まっていたい。こんな幸せな空間があるなんて。そこに入り込んでしまいたい。。テーマは ー 「時の恵み」「パラダイスとは、美しいもので溢れる別世界でありたいもの。神話やおとぎ話のような、はたまた見たことのない遠い未来のような場所には、全く違う時間が流れています。その証拠に、パラダイスへの入口には、儚いはずの虹が消えることなく、ずっと架かっているのです。」(art it より引用)とてもすてき。


